【返済比率とは】
手取りではなく税込年収に対して、住宅ローンの年間返済額が占める割合を返済比率と言います。仲介会社と銀行さんとの会話では「へんぴ」に収まってますか?みたいな会話をよくしています。金融機関は税込年収の額に応じて返済比率を独自に設けていますが、平均的には税込年収が400万円以上の場合、オートローンやカードローン、携帯電話の割賦払いなどの既存の借入を含めて返済比率は税込年収の35%〜40%以内で審査します。例えば、既存の借り入れがない場合、税込年収を400万円 返済比率35%以内として計算すると、400万円×35%=140万円
つまり、収入から住宅ローンの返済にまわせる分は年間140万円以内となり、これを12ヶ月で割ると、月々約11.6万円以内となります。
【算出金利とは】
金融機関が住宅ローンの貸出し額を計算するときに用いる基準としている金利です。審査金利と言う場合もあります。
都市銀行系の算出金利は、将来金利が上昇しても支払いが出来ることを見越して3%〜3.5%あたりを使います。これは10年固定の基準金利が目安になっています。
【算出金利3.1%の銀行で計算した例】
税込年収400万円の人が35年ローン 返済比率35%以内で借りられる金額=約2,980万円 ※既存の借入がない場合
これは税込年収400万円の約7.5倍に相当しますが、今は低金利なので、2,980万円を35年ローンで組んでも、例えば金利優遇後の変動金利が0.47%だとすると、月々の支払い額は76,962円です。
【フラット35の場合は】
フラット35は全期間固定金利なので、算出金利は、審査を申込んだ月の適用金利をそのまま使って計算します。
フラット35は400万円以上は返済比率35%で審査しますが、算出金利は35年ローンで平均するとだいたい2.0%あたりです。
【既存の借入が無いとした例】
年収400万円 35年ローン 算出金利2.0%
返済比率35%以内で借りられる額=約3,520万円。
これは税込年収400万円の約9倍弱に相当します。仮に3,520万円を35年ローンで組んで金利が2.0%とすると月々の支払い額は116,604円になります。フラット35の良いところは、審査が比較的緩いのと、金利上昇のリスクが無い安心感です。
【審査をするのは銀行ではなく保証会社】
都市銀行系の場合、最初にその系列の保証会社が審査をして、そこで通ればたいてい最大の金利優遇が受けられます。銀行的には是非借りて欲しいお客様です。しかし、系列の保証会社の算出金利では希望する借入額に届かない、または、保証を引受けるリスクが高いと判断すると、銀行によっては、全国保証(株)と言う独立系の保証会社に切り替えて再チャレンジすることができます。ただし、都市銀行は系列の保証会社で通らない場合、積極的に全国保証にまわすことはあまりしないので、仲介会社は、ダメだったら全国保証でも審査して下さいと伝えておかないと、折角チャンスがあっても不承認のままにされてしまう場合があります。
【全国保証の方が審査は緩い】
取り扱う銀行によっても異なりますが、全国保証の算出金利は、系列の保証会社よりもかなり低く設定しているため、系列の保証会社がダメでも全国保証では承認になる場合もあります。
ただし、系列保証会社が引き受けない方を引き受けるということは、それだけリスクもありますので、系列保証会社に比べて金利はやや高めなのと、保証料もやや高めです。
全国保証は信用金庫や信用組合などにも幅広く利用されています。金利はやや高いと言っても、1%以下なのでフラット35に比べれば安いです。
【全国保証の算出金利で計算すると税込年収の10倍以上借りられる計算に⁉︎】
これはあくまで計算上なので、現実には税込年収の8倍くらいの承認結果に落ち着きます。ただ、中には10倍くらい借りられる人もいます。
ファイナンシャルプランナーに相談すると、無理のない返済比率はたいてい税込年収の20%〜25%と言われます。
年収400万円の人が都市銀行で年収の35%にあたる2,980万円のローンを35年で組む場合、先程の0.47%くらいの低い金利で借りられるのなら、実際の返済比率は税込年収の約23%になります。これは、将来の金利上昇を見込まなければいけそうなラインですが、固定資産税等の支払いや、将来の修繕費の積立や金利上昇リスクを考えると、年収の6倍くらいの借入に抑える方が安全と言えます。
【とは言え、年収の6倍までで考えると、人気の都心エリアは手が出ません】
人気の都心エリアは価格が高騰しているため、年収の8倍~10倍くらいまで借りる方も少なくありません。また、諸費用分も含めて借りている方も多いです。
現在は物件価格の高騰で、ご主人様だけの収入では希望する借入額に届く場合が少なく、半数近くの方が奥様とペアローンか、奥様を収入合算して組んでいます。
同じ世帯年収でも、支払っていける感覚は、家族構成や生活スタイルよっても異なります。返済比率は低いに越した事はありませんが、あまりガチガチに比率だけに縛られ過ぎるのも良くないでしょう。
ちなみに収入合算は金融機関によって以下の3パターンがあります。
①主債務者の年収を限度に収入合算者の全額を合算できる
②主債務の年収の半分を限度に収入合算できる
③収入合算者の年収の半分までを合算できる
収入合算する場合、パート収入を合算できる金融機関はフラット35や一部の銀行に限られます。
また、契約社員や派遣社員の場合、あまり勤続年数が短いと合算出来ない場合もあります。同じ会社に3年以上勤めていれば基本は大丈夫です。
それより短い場合は、まずは事前審査をかけてみましょう!