【地番と住居表示の違い】

地番はその土地が誰の所有なのかを特定するための「登記」で使う固有の番号です。

ひとつに区切られた土地の単位を一筆(ひとふで、いっぴつ)と言いますが、ひとつの筆ごとに異なる地番が使われますので、シリアルナンバーのように法務局で管理しており、重複して使用されることはありません。

住居表示は、郵便屋さんや宅配業者が迷わないために、家屋に対して市区町村が割り当てます。住居表示は1軒に1つとは限りません。建売の開発多棟現場では5、6軒の家が重複した住宅表示なんてこともよくあります。地番と違い、住居表示は割とざっくり割り当てられるイメージです。

【住居表示が生まれた経緯とは】

もともとはすべて地番＝郵便で使う住所でしたが、土地を分ける（分筆という）度に新しい地番がどんどん増えたり、土地を合筆(ごうひつ、がっぴつ）する度に古い地番が消えたりするので、番号の並びが不規則になり、市街地では地番で郵便を送ると、誤配送が増えたり、緊急の車両がめ目的地にすぐに辿りつけなくなる事態が増えました。

そこで、昭和37年に住居表示法が出来て、市街地を道路等で囲まれた街区符号と建物ごとの住居番号で表し、例えば「○○区○○丁目○番○号」のように表示するようになりました。住居表示は必ず全国にあるわけではなく、住居表示法を導入していない自治体は、今でも地番がそのまま郵便に使われています。住居表示法が導入された場所では、地番で郵便を出しても届きません。

【住居表示付定通知とは】

新しく家が建ったら、市区町村に住居表示を割り当てて貰う申請をすると、「住居表示付定通知」を発行して貰えます。1棟の建売の場合には、たいてい以前に建っていた家に割り当てていた住居表示と同じになりますが、複数の家が建つと市区町村が決めたルールでそれぞれ番号を割り当てていきます。この住居表示を元に新居の住民票を登録します。

建売の販売チラシには、住居表示が「◯◯丁目◯◯番以下未定、と書いてある時は、まだ役所から新しい住居表示付定通知を貰ってないので、最後の「◯◯号」が決まっていないのです。住居表示は建築中でも申請出来ますが、宅建業者の売主さんは、たいてい完成したら役所に取りに行くことが多いです。

【ややこしいのは…】

住居表示と地番が似ても似つかないくらい異なっている場合は間違えることはないのですが、場所によっては地番が、◯◯丁目◯◯番まで住居表示と全く同じで、最後の枝番号だけが微妙に住居表示と違う地番のところもあるので非常にややこしいです。

ちなみに、地番の場合は最後の枝番には「号」は付きませんので注意しましょう。

地番が住居表示に似ている場合、よくあるのは、引越し屋さんにうっかり地番の方を伝えてしまって、引越し屋さんが違う家に行ってしまうことがあります。

建売で売買契約を結んだ時点でまだ住居表示付定通知が出てない場合、引渡し前でも各種ライフラインなどの切り替え手続きをするにあたり、住居表示は必要になります。