【私道のデメリットその①…通行・掘削許可が必要】
私道に接道する土地に家を建てる場合、原則的には、関係する私道の所有者全員から「私道の通行・掘削の承諾書」をもらう必要があります。
通行はもちろんのこと、建築するにあたっては、道路を掘削してガスや上下水管の工事をさせてもらう必要があります。無償で承諾してくれる場合がほとんどですが、場合によっては、承諾をもらうのに5〜10万円程度の費用を請求されることもあります。
建売業者が新規分譲で位置指定道路や開発道路を新設する場合は問題ないのですが、42条2項道路(みなし道路)や古い位置指定道路などに接道する物件の場合は注意が必要です。
もしも関係する私道の所有者から通行・掘削の承諾書が取得できない場合は建築が出来ないため、業者さんが土地を仕入れる時、後からトラブルにならないように、必ず承諾が取れることを条件に契約します。実際に、承諾書が取得出来ずに解約になる案件もあります。
【私道のデメリットその②…維持管理費用の負担】
一般的に、私道の持分を持っているからと言って、日常的に通行料や、マンションの修繕積立金のような維持費用が発生することはほぼありませんが、災害などで私道の舗装が傷んだり、地中に埋設された私設管のライフラインがダメージを受けたりした場合の修復費用は、私道の所有者や利用者が負担します。公道であれば負担する必要はありません。
この場合に負担すべき費用は、私道持分割合の多い少ないの差に関係なく、例えば日常的にその私道を利用して生活する家が6軒あれば、やはり6分の1ずつ平等に負担し合うのが基本です。自分は持分が少ないからあまり負担したくないとか、持分を持っていないから全く負担しないという考えは通らないでしょう。また、昔からの地主さんが私道全体を一人で所有している場合もありますが、地主さんからしたら、無償で私道を使わせてあげてる上に、修繕費用も請求されたら割に合わないでしょう。
【私道持分がない場合の注意点】
私道持分のない物件で、もし通行・掘削承諾が取れなかった場合、建築基準法上の道路であれば、判例上、人を通行させないことは難しいので、既存の宅地に引き込まれていた古い埋設管をそのまま利用することが出来れば、私道を掘削せずに建て替えができる場合もあります。しかし、私道持分がない物件の場合、私道の通行・掘削承諾書がないと、住宅ローンが使えない場合がほとんどなので、住宅ローンを使う場合、通行・掘削承諾書は必ず必要です。承諾書があれば、私道持分がなくても住宅ローンは使えます。
私道の通行・掘削承諾は、自分も持分を持っていれば、他の私道所有者から見れば私道の共有者の一員としてみてくれますし、承諾しないことが、将来自分が建て替える時にはデメリットになる可能性もあるので、承諾してもらい易くなります。仲間同士ならお互い様という関係です。持分がないと、こちらから相手に一方的にお願いする立場になるので、対等な立ち位置ではなくなります。
【通行・掘削承諾書の注意点】
私道の通行・掘削承諾書の内容で、人の通行は認めるけれども車の通行はダメと言う場合がたまにあります。車が通ることで、舗装が傷みやすくなったり、子供が危険にさらされたり、路上駐車されるのを嫌う人もいるのです。こういった場合、車庫を作ったところで車が入れないので注意しましょう。車庫無しで販売している新築建売が、たまにこの理由で車庫を作っていないケースもあります。
私道の通行・掘削承諾は、そこを第三者に売却する時にも、次に買って家を建て替える人のためにも取ってあげる必要があります。自分でお願いして取る場合もありますが、敷地の測量や境界確認を土地家屋調査士に依頼する時に、私道の通行・掘削承諾書も一緒に取ってもらう場合がほとんどです。個人に売却する時も、建売業者が買い取る時も、次に誰が住むか分からないため、改めて取り直さなくてすむように、その内容には、将来、第三者が取得した場合に、その取得者に対しても、同じ内容を承諾してもらうことが書かれています。